マンション管理組合の”身近な町医者”のように…

マンション管理の兵法書


7.「兵は拙速(せっそく)を聞く」

戦いを長引かせれば、軍隊は疲弊し、士気も衰えてくる。そして、いつまでも軍隊を戦場にさらす結果、国家財政は危機に追い込まれる。戦いを長引かせて成功した例は知らない。長期戦は、国家に何の利益ももたらさない。拙速…急がなければならない時は、短期間のエネルギー集中によって爆発的な効果をあげなければならない。これが、孫子の兵法の考え方です。

マンション管理組合において、想定外の多額の出費が必要になった。それも、早急に手を打たなければならない。予算は大きくオーバーしてしまう。特に細則も無い場合は、追加予算は原則として臨時総会を開催しなければなりません。【標準管理規約(単棟型)の第48条第1項第ニ号】
しかし、理事会ではさまざまな意見が出た。臨時総会は手間隙かかるので開催しなくても良いのではないかとか、費用もかかるし準備に1ヶ月もかかるとか、追加予算は理事会で決議できるのではないかとか…。皆、法令や規約に基づいた話をするわけではなく、主観で意見を言い合っている。
このような時、いたずらに時間を費やしている間はありません。
開催しなければならないものは、開催しなければならないのです。何としても臨時総会を開催しなければならないという強い責任感を持って、てきぱきと準備をすれば、最短1週間で開催できるものなのです。

招集通知書は通常総会と異なり、簡単に作成できます。通常総会の場合は、決算書や予算案などの議案書作成が大変ですが、臨時総会の場合は、招集通知書に会議の目的を簡単に書いておけば十分です。
会議の日時、場所及び目的を示すだけの簡単な招集通知書ですから、原稿用紙一枚にまとまるでしょう。【標準管理規約(単棟型)の第43条第1項】
招集の期間は、2週間も要りません。
緊急の時は、5日間を下回らない範囲に短縮できるのです。【標準管理規約(単棟型)第43条第8項】
あとは、「議決権行使書・委任状」は、パターンが決まっていますから、パソコンで取り出して、すぐに作れます。この2枚の原稿を印刷すれば良いのです。
配布は、管理会社に依頼するだけです。通常、管理会社との委託契約には「総会支援業務」として「総会会場の手配、招集通知および議案書の配布、組合員の出欠の集計等」が含まれています。

以上は、一般的なケースですので、あなたのマンションの管理規約と管理委託契約書をご確認ください。
すばやく、適切に決断すること。そうすれば、これだけの短期間でできるものなのです。