マンション管理組合の”身近な町医者”のように…

マンション管理の兵法書


9.「泰山は土壌を譲らず、故によくその大を成す」

泰山(たいざん)は奇観に富み、中国を代表する名山として知られています。その泰山は、わずかな土くれも捨てないからこそ、あれだけの雄大な山容を形づくっているのだ、という意味です。(史記より)

管理組合が長い年月をかけて、「規約改正委員会」など複数の専門委員会を作り上げてきました。あくまでも理事会の諮問機関として、理事会よりも強い権限を持たないように注意を払い、委員会規定にもその旨を規定して運営しておりました。そして、ある時は理事会の相談相手になったり、各種の提案をしたり、また新旧理事の交代等で引継ぎ漏れをカバーしたりして、それなりの役目を果たしてきました。ところが、ある年度の新理事長は、これが「目の上のこぶ」に見えたのでしょうか、就任早々、「専門委員会を廃止したい」などと言い出したのです。今迄の毎年の総会には、専門委員会から活動報告があり、その報告に対して総会での承認を受けてきております。理事長になったその人の意見だけで方向転換できるものではありません。しかし、この理事長は専門委員会を招集もしなければ、話し合いの場すら持とうとしませんでした。

「みんなで考えて、みんなで決める」のが管理組合の基本です。「目の上のこぶ」であっても、区分所有者の一人であれば、排除などできません。あいつは嫌い、こいつは扱いにくいなどと言っているようでは、ろくな働きはできません。

管理組合活動の原則は、全員参加です。しかしながら、色んな事情で参加できない方もおられます。そのために、参加できる人たちだけでも多く集めて、みんなの意見を聞き、みんなの知恵を借りて、みんなの協力のもとで、みんなの総意に基づいた活動をすることが肝要なのです。なぜなら、管理組合は、みんなのものだからです。
リーダーたるもの、わずかな土くれも捨てない広い心の持ち主であって欲しいものです。積極的に人材を受け入れてこそ、組織は強大なものになります。管理組合の役員にも、「器の大きさ」が求められています。