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10.「人は城、人は石垣、人は堀」
この後、「情けは味方、仇は敵なり」と続きます。有名な武田信玄の言葉です。甲斐の国に城を築かず、つつじが崎の居館といえば、城というには程遠い構えのものだったようです。武田家を守るのは、城や石垣や堀などではなく、強い信頼関係のある「人」こそが大切だとの信念を持っていたのでしょう。
管理組合が将来に向かって、”より良い管理”をするようになるためには、この「人」が大切となります。人をいかに生かすか、人の力をいかに活用するかが、大きな鍵となります。
例えば、一区分所有者等から、「○○を改善して欲しい」と理事会に言ってこられたとしましょう。理事会が、「またお願いか…」とほったらかしにしていたら、どうなるでしょう。その区分所有者からすれば、「せっかく意見を言ったのに、理事会は動いてくれない。」と不満に思うでしょう。理事会にしても、もっとその区分所有者から詳しく話を聴いて検討すれば、改善できる話だったのかも知れません。”より良い管理”をするためのチャンスを逸してはなりません。
理事会は、改善の依頼や苦情を聴いた時が、管理組合をより良くするチャンスなのです。それを、「うるさい住民だ」とか、「文句ばかり言う」とか言って、片付けていませんか。まず、その区分所有者からの話をじっくりと聴きます。そして、まともな話であれば、どのようにすれば改善できるかを、その区分所有者を交えて、理事会の中で議論することが大切なのです。話し合いが必要です。そして、真剣に検討すれば、何らかの解決策が生まれます。
より広く良い知恵を集めようとすれば、全員に呼びかけて「専門委員会」を作ることも良い方法です。マンションが多くの世帯であればあるほど、専門委員会にふさわしい人たちが集まりやすいものです。いろんな職業のいろんな経験を持った人たちが集まれば、大助かりです。当然に何らかの人数制限は必要かも知れませんが、「あの人は良いが、この人はダメ」などと言ってはいけません。基本的には、集まってくれる方で熱心な方であればどなたでも大歓迎です。マンション管理適正化法第4条2項に、「マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない。」とあります。区分所有者等は意見を言い、知恵を出し、汗をかくことが求められています。表現は適切でないかも知れませんが、理事会にとって「目の上のこぶ」のような方こそ含めておくべきです。なぜなら、管理組合は全員のものですし、”民主主義”の場でなければなりません。あいつは嫌い、こいつは扱いにくいなどと言っているようでは、対立しか生まれません。今こそ、坂本竜馬のような広い心が必要ではないでしょうか?
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