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11.「木、縄(じょう)に従えば正し」
どんなに曲がりくねった木でも、縄墨に従って製材すれば真っ直ぐな材木がとれる。(「貞観政要」より)
以前に私は、「専門委員会を作ることの重要性を述べ、基本的には、集まってくれる方で熱心な方であればどなたでも大歓迎です。」と述べましたところ、「冗談ではない。私の管理組合では専門委員会が力を持ちすぎていて、順番で回ってきた理事たちが、永い経験と知識を持った専門委員に太刀打ち出来ないため、理事会は専門委員会の言いなりになっている。」というご意見をいただきました。
なるほど、そのような苦情や相談は確かに聞きます。
・専門委員会を設置したが、本来の業務範囲を逸脱して、理事会に指示している。
・専門委員会のメンバーが公募されずに決定され、勝手に活動している。
・専門委員会の答申を、理事長が無視して理事会や総会などで取り上げられない。
などなど、専門委員会に関わる相談や苦情をよく聞きます。
ただ、専門委員会そのものは重要な意義を持っています。検討対象が長期間を要するもの、しかもその内容がかなり専門的なものは、理事会よりは専門委員会の方が、ふさわしい場合があります。
通常業務だけでも多忙な理事にとって、しかも1、2年で交替する理事にとって、検討対象が長期間を要するものの検討を進めていったとしても、次の理事に引き継いだ結果、また話が繰り返され、何年経ってもまとまらないということがよくあります。そのような検討対象であれば専門委員会でじっくりと検討していただき、その結果を答申してもらったものを、理事会では専門委員会の意見を十分に聴き、十分な話し合いをした上で検討を加える…。最終的には総会で決議するという流れの方が、適切と思われるのです。
しかし、前述のような問題があるのは、専門委員会の運営細則が明確ではないからではないでしょうか。つまり、専門委員会を設置する前に、その位置付けや業務範囲、委員会の運営方法等について、明確な取り決めをしておくことが大切です。そこらを運営細則として制定して、総会で議決しておかなければなりません。基本的には、専門委員会は理事会の諮問事項に答える部署で、その範囲内での草案を作成する部署であります。管理規約で定めがない限り、特別な権限は持っておりません。平成22年3月には、公益財団法人マンション管理センターから「大規模修繕工事専門委員会運営細則モデル」が発表されておりますので、ご参考にしてください。今後、このモデルに基づいて、管理組合で専門委員会の運営細則が充実することを期待したいと思います。
どんなメンバーが集まっても、その位置付けや業務範囲、委員会の運営方法等について、明確な細則を作成し、正しい認識の上で運営されていけば、自ずから正しい方向に進むものと信じます。「木、縄に従えば正し」の言葉のように…。
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